つっこみ

痛いニュース(ノ∀`):関西人「関東ではボケてもつっこんでくれへん!」…関東ではピン芸人が人気
なんか途中から関西関東の文化の差異の話になっていくんですが、意外に「つっこみ」は「ボケ」のフォローである、と思っている人が多いですね。「ボケ」メインで「つっこみ」は相槌、みたいな。

ちがいますよ。

自分は関西ネイティブではないんですが、しばらく住んでみてわかったのは、「ボケ」がアシストで「つっこみ」はシュートです。
ある人が「ボケ」た瞬間というのは、「ボケ」た人が誰か自分以外の人に場の空気の支配権をパスしてる状態で、「つっこみ」はその場をどうとでもできるわけです。ストレートにいくもよし、フェイント気味に視点を変えるもよし、のりつっこみしたり、もちろんスルーするのもありです。上級者*1にもなると、つまらないボケでもいくらでも笑わせる方向に持っていくことは可能でしょう。

海原雄山が「食事の場の礼儀は形式ではなく料理人への感謝の心。食べる側の礼儀を持って料理の送り手と受け手の場が完成する」という趣旨のことを言っていますが、それにちかいですね。相槌ではなく、場を完成させるためのメソッド。

ちなみに、つっこみとしての「スルー」は結構な上級テクニックです。ぼけた人をバカにするように「ふーん。それで」というのは、「スルー」テクニックではありません。ノーリスクで自分のクールな立場を構築できるので好まれる方法ですが、テクニック要らずで誰にでもできます。
たしかに「そんなパスだされても」という状況もありますが、関西の人が「つっこんでよー」というのは、あえて言語化するなら「僕を面白くしてよー」という意味ではなく、「せっかくパス出したのにもったいない」という意味です。

あと、何人かがいる状態で一人で一分以上話すというのは、例えるならワンオンワンです。エースのみに許される見せ場です。ここでヤマもオチもない話をするのは、悪いとは言いませんが無駄である、と関西人は考えるわけです。

ここまで書いてきて、「ボケ」と「つっこみ」の関係は、球技に例えるよりもっと適切なたとえがあることに気がつきました。ブログや2ちゃんみたいな*2ネットで、いろんな人が日々やっているような、煽ったり煽られたり釣ったり釣られたり持ち上げられたりdisられたりスルーされたり炎上したりという「場」を、最大限に楽しむための態度。それが「ぼけ」「つっこみ」なのではないだろうか。

煽る人がいたらうまいこと煽られないといけないし、釣り針がみえたら全力で釣られるのが礼儀だし、まともに受け止めてられない言葉は華麗にスルー。そこにある「場」を作り上げるために、自然発生的にできたものが「ボケ」「つっこみ」文化であると思うので、あれです、寒い関西人見てもできればちゃんといじっていただきたい。

全く関係ありませんが「つっこみびりてぃ」って英語的には「つっこまびりてぃ」だと思います。

*1:プロレベルじゃなくても

*2:痛いニュース」って両方ですね