asahi.com(朝日新聞社):相加相乗平均に新証明法 高校教諭、運転中にひらめく - サイエンス"
原論分はこちら
http://www.emis.de/journals/JIPAM/images/080_08_JIPAM/080_08.pdf
確かに「高校生でもわかる」内容でしたので、証明全体をそれっぽい問題形式にしてみました。
*1
1) a_1 \geq a_2,b_1 \geq b_2のときa_1b_1+a_2b_2 \geq a_1b_2+a_2b_1を証明せよ。
2)1)の結果を用いてa_1 \geq a_2のときa_1^2+a_2^2 \geq 2a_1a_2を示せ。
3)1),2)の結果を用いてa_1 \geq a_2 \geq a_3 \geq 0のとき、a_1^3+a_2^3+a_3^3 \geq a_1^3+a_2^2a_3+a_2a_3^2 \geq a_1^2a_3+a^2a_3+a_1a_2a_3 \geq 3a_1a_2a_3を示せ。
4)a_1 \geq a_2 \geq ... \geq a_k > 0のときa_1^k+a_2^k+...+a_k^k \geq ka_1a_2...a_kが成り立っていると仮定すると、a_1 \geq a_2 \geq ... \geq a_k \geq a_{k+1}>0のときa_1^{k+1}+a_2^{k+1}+...+a_k^{k+1}+a_{k+1}^{k+1} \geq (k+1)a_1a_2...a_ka_{k+1}が成り立つことを示せ。

論文中の証明本体は4)で、これにk=1の自明な等式a_1=a_1を加えて帰納的に結論が導かれます。用いる道具は原論文中の補題3である1)の不等式です。
2),3)は4)に至るまでの誘導のつもりです。2)は2変数版の、高校で習ういわゆる相加相乗平均の不等式で、そこから数が一つ増えた3)を変形して3変数版の不等式に持っていくところに本論分のエッセンスがあると思います。
「本人が楽しんでいるところを見せるのが最高の教育」*2という言葉がありますが、年中こんなこと考えてる数学の先生って素敵ですね。

*1:tex形式の表示がおかしくなることがありますが、mimetex.cgiの調子がおかしいのでしょうか?

*2:出典度忘れ